瓢箪日記

備忘録

絵の音を聴く

コレクション展 絵の音を聴くー雨と風、鳥のさえずり、人の声ー

根津美術館~9/6.

 

少し視点をずらすと新鮮に見える景色がある。

優れたコレクションで知られる根津美術館では作品の魅力をさらに引き出す企画展を開催中。画題は花鳥図、竜虎図、名所図など、ジャンルも仏画水墨画、文人画など、多彩な作品が並ぶ手頃な広さの展示室を、一点一点耳を傾けながら鑑賞する。

鮮やかな色彩が目をひく鈴木其一「夏秋渓流図屏風」も水流の音に耳を澄ますと清冽な響きに蝉声がしみ入り、絵から受ける奇妙な感覚がさらに増す。憧れの中国イメージを雄大に描き出す池大雅「洞庭赤壁図巻」(個人蔵)を音の視点で見ることはなかなかないだろう。

音を感じる絵画にどんなものがあるかを思い浮かべるとき、サブタイトルの風雨、鳥、人は連想されやすいが、そこに雪村周継「竜虎図屏風」、久隅守景「舞楽図屏風」まで展示されるのが根津コレクションの底力だ。

二階の茶道具展示室のテーマは「清秋を楽しむ茶」。秋は音から訪れることを藤原敏行の和歌とともに思い出す。