瓢箪日記

備忘録

[本]工藤保則『46歳で父になった社会学者』ミシマ社、2021年

育児する父親のエッセイ。知的で抑制のきいた文章ながら、生々しい育児の日々を綴りつつ、少し俯瞰した視点で先人の言葉が引用される。タイトルに「社会学者」とあるので、育児を社会学的に捉える視線があるのか、研究職と育児の両立の工夫が開陳されている…

とりづくし―干支を愛でる―&特集陳列 生誕300年 伊藤若冲

京都国立博物館、開催中 -2017.1.15 これが京都文化の底力...! ありがちな酉展に若冲展を抱き合わせ。酉展では若冲へとつながる南蘋風の宋紫石「牡丹双鶏図」や狩野永良「白梅群鶏図」、そして長山孔寅が若冲に倣った鶏と四条派風草花を組み合わせた「群鶏図…

あけましておめでとうございます

心を入れ替えて、展覧会を見たらちゃんと記事を書きます。

綴プロジェクト 狩野派の美をめぐる

綴プロジェクト「三寺院特別展示」〜狩野派の美をめぐる〜 天球院2016.1.9-3.18、等持院・大覚寺2.20-3.18 京の冬の旅(非公開文化財特別公開)を見に行ったつもりが、綴プロジェクトの実力と貢献を確かめる旅に出ていた。要するに、寺院の障壁画が傷まない…

歌川広重の旅

生誕220年 平木コレクション 保永堂版初摺でたどる東海道五十三次 美術館「えき」KYOTO、2016.2.19-3.27 展覧会行脚の冬の旅、夜は20時まで開館しているJR京都駅ビル7階の美術館へどうぞ。ICOCAなど交通系ICカードで支払うと入館料が200円割引。入場券は京都…

かざり 信仰と祭りのエネルギー

MIHO MUSEUM 2016.3.1-5.15 伊藤若冲風の動物をパズルピースのような升目にたくさん描き込む屏風2点が並ぶと聞いて、石山からバスに50分揺られて桃源郷へ行って来た。向かい合わせに並んだ動物屏風は必見、と言いたいところだが、後でカタログを開いたら見て…

実相院門跡展 幽境の名刹

京都文化博物館、2016.2.20-4.7 京都岩倉の実相院の文書と障壁画を展示し、研究論文を多く掲載した図録をISBNあり書籍として思文閣から刊行する企画。広くはない展示室なので、障壁画は前期・後期で入れ替え。障壁画がおさまる客殿は東山天皇中宮である承秋…

村上隆の展覧会2つ

・村上隆の五百羅漢図展、森美術館、2015.10.31-2016.3.6 ・村上隆のスーパーフラット・コレクションー蕭白、魯山人からキーファーまでー 横浜美術館、2016.1.30-4.3 せっかくなら2つとも見たいところ。五百羅漢図展は日本初公開の全長100メートル以上とい…

ピカソ、天才の秘密

愛知県美術館、2016.1.3-3.21 意外にも、キュビズム以前のピカソの「青の時代」と「バラ色の時代」に焦点を当てた展覧会は日本で初めてらしい。少年時代の才能があふれでるようなデッサン類をまとめて見ることができるのも貴重な機会。「青の時代」の色調豊…

名古屋で西洋美術を

・聖なる風景 ルネサンスからルオーまで ヤマザキマザック美術館、2015.11.20-2016.2.28 ・ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年 名古屋ボストン美術館、2015.9.19-2016.2.21 名古屋には西洋美術の優れたコレクションと展示でいつも期待を裏切ら…

春画展

細見美術館2016.2.6-4.10(前期-3.6、後期3.8-) 東京・永青文庫で記録的入場者を獲得した話題の展覧会の京都展。永青文庫の建物がもつ雰囲気とは異なるが、小さな展示室を重ねる親密空間が特徴の細見美術館は、春画を「明るく」鑑賞するのにふさわしい。巻…

ジョルジョ・モランディ 終わりなき変奏

東京ステーションギャラリー、2016.2.20-4.10 作品リストにずらりと「静物」が並ぶ、特定モチーフの繰り返しが特徴のモランディ展。日本人の感性に合うのか、意外と混雑している。こちらに何かを気づかせるよう内省させる力がモランディ作品にはあり、フェル…

ゆかいな若冲・めでたい大観ーHAPPYな日本美術ー

特別展 伊藤若冲 生誕300年記念 山種美術館2016.1.3-3.6 鶴亀、松竹梅、七福神、蓬莱山に富士山など、吉祥テーマと干支を集めた山種美術館の正月展示。伊藤若冲生誕300年となる2016年、若冲を冠する展覧会の第一弾でもある。「群鶏図屏風」、「河豚と蛙の相…

琳派降臨 近世・近代・現代の「琳派コード」を巡って

京都市美術館2016.1.14-2.14 琳派400年記念祭の掉尾を飾る展覧会。2015年秋に京都国立博物館と京都国立近代美術館で開催された二つの琳派展ー前者は近世まで、後者は近代以降ーを踏まえての企画構成や作品の出品交渉は、様々に困難であったと思われる。「自…

松竹梅 新年を寿ぐ吉祥のデザイン

根津美術館2016.1.9-2.14 申年にちなんだ猿の美術品とともに、松竹梅を取り集めたお正月展示。展示解説によると松竹梅の組み合わせは室町時代以降とのこと。元明の中国絵画から桃山時代の狩野派らしき「松鶴図屏風」、小袖に焼物とバラエティー豊かで一見の…

美の宴

第21回秘蔵の名品アートコレクション展 美の宴 琳派から栖鳳、大観、松園まで ホテルオークラ東京 本館1階「平安の間」 毎年ホテルオークラで開催されてきたチャリティー企画展だが、今回の展示終了後にホテルは建替え工事に入る。有名なロビーでは記念撮影…

花ひらく琳派

花ひらく琳派 絵画とやきものでたどる装飾美の系譜 特別出品ー本阿弥光悦作【国宝】白楽茶碗 銘 不二山 サンリツ服部美術館-11/15. 今年2015年は「琳派400年記念祭」で京都が盛り上がりを見せている。諏訪湖畔の景勝地にたつサンリツ服部美術館は、本阿弥光…

NO MUSEUM, NO LIFE?

NO MUSEUM, NO LIFE?これからの美術館事典 国立美術館コレクションによる展覧会 東京国立近代美術館~9/13. 国立の美術館5館がコレクションを持ち寄る展覧会シリーズ2段目。 すなわち主催は独立行政法人国立美術館(東京国立近代美術館、京都国立近代美術館…

絵の音を聴く

コレクション展 絵の音を聴くー雨と風、鳥のさえずり、人の声ー 根津美術館~9/6. 少し視点をずらすと新鮮に見える景色がある。 優れたコレクションで知られる根津美術館では作品の魅力をさらに引き出す企画展を開催中。画題は花鳥図、竜虎図、名所図など、ジ…